2021.12.21

相続

相続した不要な土地だけを放棄できる?

こんにちは。富山の行政書士法人 SRS結 片山です。

 

相続の相談を受けていると、「あの土地は相続したくない」、「相続した要らない土地を処分したい」といったお話をよく聞きます。現行民法では、相続発生後に必要な財産だけを相続して、不要な財産のみを放棄するということは認められていませんので、やむを得ず不要な土地などを相続されているケースが多いかと思います。

 

しかしこの度、「土地所有権を国庫に帰属させることができる制度」が創設されることになりました。この制度は、相続等によって土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を手放して、国庫に帰属させることができる制度です。令和5年4月27日からスタートする予定です。

 

ただ、どんな土地でも国庫に帰属させられるということではなく、いくつかの条件を満たさないと所有権を手放す事が出来ません。

 

国庫帰属が認められない土地の主な例として、


①建物、工作物、車両等がある土地 

②土壌汚染や埋設物がある土地   

③危険な崖がある土地

④境界が明らかでない土地   

⑤担保権などの権利が設定されている土地 

⑥通路など他人による使用が予定される土地  

 

などが挙げられています。

また申請時には審査手数料を納付を行い、国庫への帰属について承認を受けた場合には、負担金(10年分の土地管理費相当額)を納付する必要があります。具体的な金額や算定方法は、今後、政令で定められる予定との事ですが、目安として「粗放的な管理で足りる原野は約20万円、市街地の宅地(200㎡)は約80万円」となっており、土地の条件を満たす事と併せると、制度利用のハードルは高いかと思われます。

 

しかしながら、不要な土地を相続した相続人の負担感が増加している中、国庫に帰属させることができる制度は、所有者不明土地の予防とともに、相続人の負担軽減の選択肢として広く活用されることが望ましいと思います。

 

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