2021.07.22

成年後見

成年後見人における死後事務について

こんにちは。富山の行政書士法人 SRS結 片山です。

 

 

成年後見人として支援をしてきた方が亡くなってしまった場合、成年後見人の業務は終了し、「管理計算業務」と「相続人等への相続財産の引渡し業務」を行うことが義務として残ります。

 

ただ現状としては、本人に身寄りがない場合や親族が誰も対応しない場合には、成年後見人等であった者が、病院や施設の求めにより死後の対応することがあります。実際には本人の死亡により、何の権限もなくなっていますが…。

 

病院へ駆けつけ、医師の死亡確認に立会い、葬儀会社へ連絡し、ご遺体の引き取りを依頼する流れでしょうか。他にも火葬や生前の医療費等の支払いなど、周囲の期待を裏切れない気持ちもあり、その対応に苦慮する事も多くありました。

 

              

 

 

その場合は、民法上の、

「事務管理」民法第697条 義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理をしなければならない。

「応急処分義務」民法654条 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。

 

上記の解釈で現場対応をしている状況でしたが、成年後見事務円滑化法(平成28年10月13日施行)により死後事務関係の条文が新設されました。

 

「成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限」民法873条の2

成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為

二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済

三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)

 

現場の実情に沿ったこれらの法改正は、ご本人も成年後見人も成年後見制度をより利用しやすくするために、非常に大切な事だと感じています。

 

注:これらは「成年後見人」に関しての規定であり、「保佐人」「補助人」等は、これまで通り「事務管理」や「応急処分義務」による対応になろうかと考えます。

 

 

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